脳力開発

仁松庵へお昼ご飯を食べに出掛けた。マグロのカマの塩焼き定食が目当てだったのだが、1800円から2000円に値上げされていた。確か、メニューに載った当初は1500円であった。品質からは決して高額ではない。しかし、日和って天ぷら定食を頼んだのであった。

ところで、カマといえば、魚の頭部に含有されるドコサヘキサエン酸(DHA)を摂取すると頭が良くなるという触れ込みで、 90年代前半にそのサプリが流行った。自分も祖母に飲まされた。効果?ある訳がない。

さて、現代でも、脳力開発の為の様々な商品が売られているが、まあ、頭の良さの定義にもよるのだろうが、とりあえず眉に唾をつけた方が良い。成長期が過ぎてから身長を伸ばそうとする様なものではないのか。骨延長手術などもあるので、案外にテクノロジーを馬鹿にも出来ないのだが。

それはさておいて、脳力開発の効果という観点からすると、一つ思いつくのは鼻の通りを改善する事だ。鼻詰まりだと頭がボウッとして働かない。改善するのは意外と簡単だ。お腹の張りを取り除くと良い。鼻詰まりだけど、調整するのはお腹だ。

これは何を言っているのかというと、例えば、食事の前後で何かの匂いを嗅いでみると分かる。食後の方が嗅覚は鈍いはずだ。嗅覚と腹部の緊張弛緩には因果関係がある。要するに、食べ過ぎてお腹が張ると、鼻は詰まる。中間のロジックを加えると、お腹が張ると体幹が歪むので、鼻腔が圧迫されるというだけの話だ。そして、鼻詰まりの原因として、本当にこれが多い。ちょっと減食するのがお薦めです。

知能には遺伝の影響が決定的なので、頭が良くなるという効果には懐疑的だが、少なくとも、鼻の通りが良くなると頭が働く様にはなる。だから、学校でぼんやりしやすいお子さんが心配だという親御さんは、まずお子さんの鼻詰まりの有無を調べよう。

怪我

女の子が施術を受けに来ていた。その後にオジサン2人組が待合室で順番待ちをしていたのだが、女の子の帰り際にバイバーイと手を振っているので、営業妨害はヤメテ、施術を痛くしますよと毒づいたとか、毒づかなかったとか。

しかし、痛くするまでもなく、男性の一人は痛風なのでうつ伏せにもなれないほど、足の親指が痛い。風が吹いても痛いと呼ばれる痛風だが、本式の症状は柔らかい布団に足先が接触するのも耐え難いくらいに痛む。

ところで、尿酸値に出ていなくとも、痛風様の症状は多い。酒飲みに多い。尿酸値に出ていないケースでは、足のスネや甲が痛むケースをよく見る。胸椎789番が独特に詰まるので見分けやすい。

実は、自分も何年か前にやっている。当時、半分に割ったメロンの種を取り除いたところにウィスキーを注いで食べるのが好きだった。夏だったので暑気払いに一週間ほど食べ続けたら、ある日、足の脛に激痛が走った。最初は空手の稽古で足を蹴られたせいだと人のせいにしていたのだが、自分の体を改めて調べてみると肝臓が張っている。それで、肝臓を押さえて、酒を抜いたら痛みはすぐに取れた。

我を怪しむと書いて、怪我と読ませる訳である。

名人芸

あれは震災の翌年だっただろうか。仁松庵で、スリランカで鉱山経営をしているという中年男性との会食の機会があった。現地の軍人に袖の下を渡して、遺跡でダイナマイトを使用したインディ・ジョーンズごっこを楽しんでいるという話であった。眩暈がしそうなくらい胡散な話だが、好物である。

この御仁、気功をやっているというのだが、癌の人を2、3人は治したかなあと言うので、素人さんは好きな事を言えて良いなあなんて事も思った。仕事にしていると、含羞というものがある。癌が小さくなった人もいるけれど、そんな事は気持ち良く話せない。しかし、老後に引退する事があったら、マルコ・ポーロをやるつもりだ。確か、ヨーロッパに戻ってついた彼の仇名はミリオーネと書いて百万の嘘。

癌はステージ4になってから訪ねていらっしゃる方が多い。実話だが、病院>拝み屋さん>ウチの順番である。だから、最期の数ヶ月だけを見た事が何度もある。もう洗面器に吐きながら、施術を受ける様な状態である。正直に言うと、施術は抗がん剤による体調不良の後始末で手一杯になる。

数は見たので、それなりの所見はある。肝臓が水気のない繊維状の触感になっているのが特徴だ。これは抗がん剤の影響なのだろう考えていたのだが、投与する前の人も同様なので、そういうものだと見做している。後は、足の指骨間に独特の詰まりが出ている。脊椎の転移にも特徴が出る。こういうのを知ると、時々は自分のを確認しないと気が済まなくなる。

怪しいなと感じたら、検診はしていますか?と水を向ける。勘の良い人はそれで受診するのだが、前立腺に見つかった事があった。どうして分かった?と尋ねられたけれど、それは体の特徴があるからだ。そういえば、病院のレセプトをしている人と話していたら、人相を見たら何の病気か見当がつくそうである。僕は分からない。その方の場合、毎日、膨大な人数を見て顔付きと病名を確認しているから身に付く、ある種の名人芸であろう。

知る者は言わず、言う物は知らず

15年以上前に、整体の名人の勉強会に出ていたら、練習で組んでいたプロの男性が、ワタシャあの人の言う事がサッパリ分からんのです、とポツリ。

確かにそうで、毎回、独自用語を抽象的に使うものだから、自分にも何を言っているのか分からなかった。長年の参加者は慣れているのか、質問もしない。愛が光と化合してというほどではないけれど、植芝盛平なのかという言語感覚だった。

凄腕なのは間違いないのだが、やっている事を自分でも分かっていないのか、それとも職人だから隠しているのかな、とも訝しんだ。

ところが、人伝にその名人のエピソードとして、小水が出ないまま寝たきりでいる人に対して、金タライを用意してヤカンから水を垂らす様子を見せていたという話を聞いた。それで小水が出たというので、ウィットがあるなあと驚いて聞いたものである。

当時、名人のところに通っていた人を自分が施術する機会があった。その際、その方から、数回、名人のところに通って、操法が合わなかったねと言われたという話を聞いて、また感じ入った。なかなかそんな事は言えないのだ。

知る者は言わず、言う物は知らずというアフォリズムは、確かにそうなのかもしれない。

『病気をなおす100の秘法』

近頃、学生のうちにもっと勉強しておくべきだったと思い返す事が多い。

整体の勉強に限らずだ。今は仕事をしながらなので、とにかく時間がない。自分だけの為のまとまった時間が欲しい。

だから、学生は社会経験の為のバイトは良いけれど、小銭欲しさに時間を売ってはいけない。親の脛をしゃぶってでも、時間を優先するべきだ。

さて、しばらく前に佐々木先生から貰った佐藤久三/著『病 気をなおす100の秘法』が使いやすかったので、関連書籍を大人買いした。

身体均整法の書籍なのだが、整体操法の兄弟の様な手技だ。門外漢の自分には、整体から霊術の要素を抜いて、手技の要素を増やした様に感じる。手技としての編集コンセプトが異なるので、その違いがおもしろい。

刊行が近年のものになると、刺激の入れ方が手技研のものになっているけれど、吸気の頂点で触れるのは合理的かもしれない。心身の隙なので、刺激が入りやすい。その分、弱刺激にしておかないとリスキーだが。

整体の場合、手技は呼気で押さえるが、割と強刺激を多用する。愉気があるので、それでバランスを取っている形なのだろうが、いっそ全て弱刺激で手技をまとめても良いかもしれない。その方が体の負担が少ない。整体は術者が年を取るとアスリート的に疲弊するので、その辺りは一考の余地がある。

100日後に太る俺

100日後に太る俺は嫌なので、皮膚の調整に加えて、自分の体を調整し直している。もうちょっと痩せた。

酷いのは足首で、右足を動かすとゴリゴリと関節が鳴り動きが悪い。アキレス腱が縮んでいるので踵骨を叩いて伸ばし、指骨間の硬直を弛めて調整をし直した。足首しつこく回したら動きが戻った。

立つと足の裏がペタっと地面に密着する様な感覚がした。副産物で腰も伸びた。蹴ってみたら、軸足の安定が増している。ストレッチをしても足首を回す人は少ないかもしれないが、丁寧に足首を回すと腰まで変わる。

お腹にガスが溜まると足首の関節は太くなるのだが、調整した後に右下腹部に触ってみると柔らかくなっている。この足首の可動とお腹の関連は整体でも知らないと馴染みのない考えだろうが、便秘だとやはり足首の可動は悪くなるし、逆に足首の可動が悪いとお腹の調子も優れないと施術では見立てる。

各関節も内臓機能と密接だ。例えば、手首は生殖器と関連するし、膝は腎臓と関連する。施術に応用すると、膝の可動が悪い場合は腎を調整する。すると、膝の可動性が戻りやすい。

整体では関節の動きなどの運動系と内臓機能の繋がりを整理しているのだが、これは鍼灸、漢方などの伝統的な東洋医学には形跡の薄いコンセプトだ。この辺り、整体はまだ新しい技術ではある。

恥骨

3日前から、お腹に湿疹が出ている。痒い。

体質的なもので、8月末から9月上旬にかけて出やすいトラブルだ。夏で疲れてそうなるのだが、今年は今頃に出ている。原因はインドアな暮らしをしているので、発汗が不十分な為だ。分かっているので気を付けているのだが、3年ぶりくらいに湿疹が出た。柿の種を食べ過ぎたせいかもしれない。

それで、皮膚病一切奇妙を押さえた。恥骨の角にあるお肌のトラブルの調整点だ。

皮膚病一切奇妙には失敗談がある。これは長らく効かない調整点だと勘違いをしていたのだ。

ところが、6、7年ほど前にやはり湿疹が出ているタイミングで、生徒で鍼灸師の松尾さんの練習台になって恥骨を操作してもらったら、すぐに湿疹が改善するという事があった。効くじゃないか。不明を恥じたものである。

メカニズムとしては、恥骨の角を操作すると鼠蹊部のリンパが流れるのだ。だから、リンパのつまりから生じる肌のトラブルには効果がある。効かないと勘違いをしたのはアトピーなどに対して使用しても変化がなかったからなのだが、これは適用を間違えていた。アトピーは腸をやらないとダメ。

昨夜、いよいよ痒くなって来たので、恥骨の角を押さえたら、今朝は湿疹が引いていた。痒みもないので、安心した。

汗をかかないのが件の湿疹の原因だというなら、けったいな調整をする前に、外へ出て運動をしろという意見もある。

合谷

乳房にしこりがあるとのご相談。

本当に心配であれば検査を受けたら良いのだが、乳腺炎などであれば合谷をしごくとすぐに良くなる。

やり方は、手の親指と人指の皮をつまんでしごく。皮の中に固い筋がある場合は、それをしっかりと摘んだまま引っ張る。かなり痛い。

施術後にどうですか?と確認して貰ったら、張りは取れていた。

修業時代の練習で名人の合谷の操作を受けたが、もうペンチでも使っているのではないかという痛みで、全身に響いた。とこころが、指を離すと痛みはなく、跡も残らない。

その後、随分と練習したものだが、出来る様になるまで数年掛かった。グミ状の硬結は押さえると逃げるので、それをつかまえる角度の正確さが必要。指に力を入れると上手くいかないのだが、それがなかなか分からなかった。

ピーナッツ、正確に言うと柿の種を食べ過ぎたら、ニキビが出来た。胆経を見たら、えらく固い。

調整したら、ニキビは小さくなったのだが、あまり脂物が得意ではない割に好きなので気をつけないといけない。

胆嚢はあまり丈夫な臓器ではない。特に日本人の体は食生活の急速な欧米化にそこまで適応出来ていないかもしれない。いつも胆の張っている男性がいて、何か変な物を食べていませんか?と毎回お尋ねしていた。半年ほど経って、そういえば自分は何にでもオリーブオイルを掛けるという返事があった。刺身にもオリーブオイルだそうである。それを止めたら、胃腸の調子はすぐに良くなった。

これまた数年経ってから、医学的な検査をしたら、その男性の胆嚢は生まれつき半分のサイズだという事が分かった。脂物を控えた方が良い体質なのだ。それで、あの時はよく分かりましたねと感心されたのだが、固いとか柔らかいとかいうのは意外にハッキリ分かるものなのだ。

毎回、調整しても、胆嚢のある場所がすぐにまた固くなるケースも多いのだが、中年以降になるともう石が出来ているという事も多い。

胆石に限らず、この石というのが曲者なのだ。腎結石から腰痛が出ている様なケースでは、なかなか良くならない。必殺技はストーブで背中を炙る。バッと汗が出て痛みは引いたりする。そういえば、足の小指と薬指の間を強圧すると、胆石痛が止まるというマニュアルはあるのだが、効いた試しはないな。あれはどうなのだろうか。

待つ技術

整体は待つ技術ではある。

例えば、梅雨時に体調が悪い人は多いのだが、大概は過ぎたら良くなる。逆に言うと、梅雨が苦手な体質だと、その間は何をしてもスッキリとは良くならない。梅雨時は除湿をして、腎に負担が掛かると腰痛が出やすいのでそれを補助しておいて、梅雨が過ぎるのを待つ。

背中を押さえる際にも、相手は自分の力で固めている。ただ、ずっと力んでいられる人はいないので、しばらく押さえ続けているとどこかで力は抜ける。それまで待って刺激を加えたら良い。その為、施術者には長い力が要る。強い力では途中で力尽きるので効かない。施術者は息の長さを呼吸法までやって訓練するのだが、一見、迂遠でも無意味ではない。

自分はせっかちな性質なので、体の各部位を忙しく調整する癖がなかなか抜けなかったのだが、最近は一箇所でジッと待つ事が出来る様になって来た。手技を工夫するのもおもしろいものだが、気の調整に戻って来た。

近頃、興味深かったのは、波よりも点として認識される様になったところ。波的に解釈すると、表面の硬直でつっかえて通らないのだが、わざわざ空間的な制約に捉われる必要もない。硬直は避けたら良い。手から出すものだという観念が強過ぎた。それで、二重スリット実験みたいだと悦に入っていたのだが、そもそも文脈が違うか。