怪物

映画の『怪物』を観て来た。是枝裕和作品を観るのも久しぶりで、『ワンダフルライフ』以来だが、既視感を覚えた。

主演の黒川想矢は少年時代の柳楽優弥とよく似ていて、監督の危うい少年像の原型なのだろうか。画面は色彩感覚よりは陰影に感性があって、水墨画みたいだ。北野武作品はカラーでないと観れないだろうけど、是枝裕和作品は白黒にしても観られそう。

カンヌで脚本賞を取っているくらいだから、ストーリーは素晴らしい。小学校のイジメ問題を題材に、現代における悪を描いている。

全員悪人がキャッチコピーだったのは北野武の『アウトレイジ』だけど、知能指数の高いアウトレイジというとあんまりか。分かりやすい暴力よりも尚恐いという。

北野武の話になってしまった。タイプの違う監督なのに、なんとなく作家性に近いものを感じているのかもしれない。北野武には含羞があって、是枝裕和にはそれがないところが表現の違いになっているというか。照れをなくすと、『Dolls』になってしまうのだが。

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