引揚

出張先へ向かう為に、武蔵溝ノ口でJR線に乗り換えた。しかし、時は18時台。一番混雑する時間である。

階段を降りて、出発間近の電車へ乗り込もうとしたら、人がぎゅう詰めで乗れるのか怪しい。乗れるかなという声がしたので、横を見たら中年男性と目があって、お互いに苦笑した。

乗り込もうとして、その男性の背中を押してあげたのだが、途中で彼は乗り込むのを諦めてしまった。自分は無理矢理に乗り込んで、ドアが閉まる。

窓を隔てて、視線が絡む。目と目で語り合いながら距離は離れていった。相手は笑いながらうなずいてる。なんとなく感動的だった。赤の他人のオッサン二人だけど。

車内で、満州からの引揚者はこんな感じだったのだろうかと、アホな事を考えてしまった。

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