コートドール

近所の友達の家でご飯をたまに作ってもらう。お店で食べる様な料理がいつも出て来る。

玉ねぎ丸ごとをローストしたシンプルな料理が出て来たので、コートドールを思い出しますよと伝えたら、今月中に閉めるらしいよと教わった。

20歳くらいの頃、オーナーシェフの斉須政雄氏の本を読んで発奮したものである。フランスでの修行時代からお店の経営についてまで書かれていて、とにかく熱いのだ。さあ、これから自分もやるぞという時期に随分と刺激された。凡百の自己啓発本を読むよりもお薦めである。具体的な体験に裏打ちされた言葉には重みがある。

20代は稼ぎがまともになかったから、実際にお店を訪ねたのは30代になってからの事だ。でも、過去3回ランチに行って、正直、よく分からなかった。本を読んだ時の様な感動はなかったのだ。

ところが、先々月にディナーに初めて行って、本の中で描かれる世界そのままを体験出来たと感じた。赤ピーマンのムースやシソのスープ、牛テールの赤ワイン煮込みなど、シンプルな素材を活かした料理のフルコースだった。

ランチで単品だけ頼んでも分からなかったけれど、きっと単語だけだと文法が分からないのと一緒だろう。コースで食べる事で、表現したい世界が分かった。閉店は知らなったけれど、間に合って良かった。

後日、コードドールの閉店は誤報と知った。失礼。

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