シリコン製ヒゲゼンマイ

コンビニで売られている商品の開発担当者の方がお越しで、毎回、会議の様子を伺うのだが、パッケージや中身について、そんな細かいところまで話を詰めるのかと驚く。コンビニの棚取り競走は過酷で、そこまでしないと生き残れないらしい。背景を知ると、200円もしないマスプロダクトが恐ろしい。

ところで、数年、自分はシャープ製の掃除機を使っているのだが、失敗した買い物の一つだ。エコ機能がついていて、掃除機の首を立てるとモーターが停止する仕組みになっているのだが、これが鬱陶しいのだ。しかも、エコ機能には停止ボタンがない。モーターに急制動を掛けたら、寿命が短くなるに決まっているので、どこがエコなのかも分からない。そんな無駄な機能を付ける時間と予算があるなら、重さを1グラムでも軽くすれば良いのに、世間でエコが言われるから機能を付けましたとしか、意図が読み取れないのだ。開発担当者は何も考えていなかったのではないだろうか。シャープは思想を持たなかったから、身売りをするハメになったのだ、と決めつけている。

さて、そんな面倒な事を考えて、時計も選んだ。現代の機械式時計には耐磁性能が必須なので、そこを追い掛けてみた。スマホと一緒に時計を持つと、金属製の部品に着磁して故障の原因になる為だ。業界では非金属のシリコン製ヒゲゼンマイが話題なので、それを搭載したモデルを探した。着磁する度に脱磁したら良いという意見もあるのだが、そんな面倒な事はしてられない。

結局、Baume&Mercerの『クリフトン』を購入した。シリコン製ヒゲゼンマイ搭載モデルで、1500ガウスの耐磁性能がある。電子機器との併用にも問題がない。ただ、調べたらこの製品には一点、難点があって、2018年モデルではシリコン製ヒゲゼンマイを搭載しているのだが、特許でトラブルがあったらしくて、2019年以降のモデルからは金属製のヒゲゼンマイに戻している。新型においても、ムーブメントを着磁しにくいケースで覆う事で耐磁性能を保っているというのだが、開発者の理想は2018年モデルにあるはずだ。

そんな訳で、市場に残っている2018年モデルをわざわざ探して、購入した。派手さはないが良い時計だ。年を取っても使えるだろう。

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