予備校時代、小論分の添削の授業を受けていた。担当の先生曰く、あなたの文章は精神科医の岸田秀みたいねというので、後年、読んでみたら、あまり嬉しくはなかった。中井久夫と言われていたら、喜んだのに。
中井久夫氏は、神戸の少年Aの手記にも登場する精神科医である。著作を読んで、ファンなのだ。
その中井先生にご親族を見て貰っていたという方から、診療の様子を伺うと、まず患者の両手を握って、ご飯食べた?寝られてますか?とやるそうである。
通常、心療内科に患者として連れて行くと、本人は怒って受診を拒否するのだが、そのまま治療を始める事に同意したそうである。
このエピソードを教えてくれた方によると、本の中でも、両手を握るやり方が紹介されているそうなのだが、全集まで読んだのに全く覚えていない。最近、それで失敗をしてしまった。
逆に、寂しいお婆さんなどは、病気がコミュニケーションの手段なので、病人扱いをして蝶よ花よと扱わなければ、場が保たない。なかなか難しいものです。