瞬き

夜の暴れん坊将軍が、出会い系サイトで知り合った女の子を連れて施術を受けに来てくれた。なんとその日が初対面だという。

初回のデートがウチというカオスな状況である。既におもしろいのだが、女の子が先に来て、将軍様が遅れてやって来た。その時点では、お二人の面識はない。玄関の開く音がすると、施術を先に受けていた女の子の瞬きがパチパチ増えるので、脚痩せがどうのこうのと話をしながら、吹き出しそうになっていた。

そのうちに、将軍様が待合室で仕事の電話を始めて、輸出がどうのこうのという話し声が聴こえる。すると、イタリア人とのハーフの綺麗な女性なのだが、長い睫毛でまた瞬きをパチパチパチパチと高速でするものだから、とうとう耐えられなくなって吹いてしまった。

施術後、お二人はフカヒレ料理屋へと去って行った。その背を見送りながら、なんとなく狐に化かされた様な気分で、自分も目をパチパチさせてしまった。実は、三者三様に同じ気持ちだったに違いない、というのがこの話の面白味である。

しかし、遊び人ならではの含蓄がある。将軍様からは何人もご紹介頂いたのだが、たまに土壇場でキャンセルになる事がある。それを将軍様に報告したら、お店の1位や2位の娘は約束を守るんだよなあと、呟くので感心したのだ。確かに、1位と2位の女性は来てくれたものである。

ところで、お酒を出すお店でも、トップを取る様な女性は胃がカチカチに固かったりする。気を使い過ぎるからだろう。ついでに、芸能界で働く方や秘書をされている方にも、胃が固いという共通点がある。気が利かないと仕事にならないのだろうが、仕事が出来るのも楽ではない。

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