古龍

90年代の香港映画といえば、ツァイ・ハークだ。ウォン・カーウァイなど知らない。女優はアニタ・ユンが好きだった。レスリー・チャンは死んでしまった。ブリジット・リンは良いオバチャンになっている。

最近のツァイ・ハークは何をしているのだろうかとAmazonを検索してみたら、変わらず精力的に活動していた。ハリウッド進出は残念な結果になったが、元気そうで何よりだ。最近の何本かを観てみたら、ワイヤーアクションは相変わらずだが、CGの多用はダサいと感じた。製作予算の問題だろうか。

『白髪妖魔伝』のファン・ビンビンは美しかった。日本の人気女優は美人投票的でどこか親近感を残しているが、大陸的な美人は本当に浮世離れして見える。数年前に脱税で捕まっていたが。

『修羅の剣』はストーリーがおもしろかった。唐代っぽい時代設定の武侠モノだ。愛と誠がテーマなので梶原一騎みたいだなと思いながら、原作を確認したら古龍だった。1970年代にバカ売れした中国の人気作家だ。そういえば、金庸は読んだが、古龍は読んだ事がなかったので図書館でまとめて借りてみた。直観は正しかった。加虐趣味と根性論を抜いた梶原一騎だ。アウトサイダーを主人公に、妙な諧謔が似ている。

作者のタイプも似ている。4回の結婚、ヤクザとの喧嘩で刺される、原稿料を前借りしての放蕩などの逸話が多数。当然、大酒呑みでヘネシーを愛飲、四十代のうちに肝臓癌で亡くなっている。オラついたタイプが飲むのは、なぜかヘネシーに決まっている。死の床で漏らした「なあ、俺が死んだら泣いてくれるやつがいるかなあ。なんで、俺の女たちは一人も来てくれなかったんだ」が弟子の聞いた最期の言葉だったそうな。

最近、YouTubeで中国すごい動画を観ていたら、木の板にレンチやスプーンを投げて刺す人が紹介されていた。イケメンがコスプレしているのだが、元ネタが古龍の小説の登場人物だと分かったのが嬉しかった。

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