朝からなぜか高校の同級生の事を思い出していた。
彼は自分の将棋の先生だ。授業中に席の前後でよく将棋を指していた。流石に、駒をパチンパチン鳴らしたりはしない。ノートにボールペンでマスを引き、鉛筆でコマを記入する方式だった。何百回指したか分からないくらいだが、結局、一度も勝てなかった。
将棋が強いからという訳でもないのだが、頭の回転が速くて、その分エキセントリックなタイプ。成績はそれほど良くなかったはずだが、受験の時期にちょっと勉強したら成績が上がって、防衛大学を受けていた。学力的には合格ラインだったはずだが、面接で志望理由を問われて、無料だからと答えて落ちた。
血かもしれない。彼のお父さんは自家用飛行機を持っていて、子どもの受験用にとアメリカからいけない薬を買って来る様な人だった。実際に会った事はないのだが、変わっているのだ。まあ、自分と気が合うくらいなので、クラスのメインストリームではなかった。
そういえば、彼は背が低くて体格も良くなかったが、 運動神経は良かった。ところが、体育の授業でバスケットボールをやっている様子を眺めていたら、コートの良い位置にいてもパスが回らない。普段の人間関係の反映かと子ども心にも思ったものだった。学校という小世界が社会の縮図なのは間違いがない。
人様の事情はさておいて、自分の実状はどうだったのかというと、当然、ボッチ野郎である。
ところで、今の仕事をする様になって、人から観察力がありますねとお褒め頂く機会があるのだが、それは無言で人の挙動を観察する癖が付いているからだ。喋っているとそちらに意識が取られて、相手の事はよく見えない。