整体では、施術は観察が8割と教わる。
前提として、症状と原因を区別して対処に当たる。例えば、腰にトラブルがあったとしても、そこに原因があるとは限らない。頸椎の負担から腰痛が出ていたり、便秘による内臓の緊張を腰痛として感じている様な事がある。
症状の出ている部位を直接に調整すると、悪化させる事もしばしば。負担の掛かりやすい部位に、更に負担を掛ける結果になるからだ。その点、ムラのある柔軟性は危険で、可動性の良い部位は逆に怪我をしやすい。固い部位は動かないので、傷めもしない。
整体の学習は体の観察方法に終始する。当然、上達するほど、異常箇所を見つけるのが上手になる。
ところが、中級者になった辺りでジレンマに陥りやすい。調整箇所が増えて、施術が長時間化するのだ。しかも、それで効果が上がるのかというと、下手な鉄砲百打ちゃ当たるで施術が散漫になり、むしろ、効果も下がる。手数が多いから、何が本当に効いたのかも分からなくなり、ノウハウの蓄積もしにくい。下手になったと悩むのだ。
昨夜の研究会では、そのジレンマを解消する為の方法論がテーマ。問題箇所を幾つか並べて、それに優先順位をつける訓練を行った。
背中が張っているとすぐに手を出したくなるが、そこではない。右肩から腕に掛けての緊張も、違う。お腹の張りも、飛ばす。左内踝の一点の調整を通して、左腸骨の可動をつけたら、それで他の問題箇所も同時に良くなった。整体らしい施術の事例を綺麗に見せられた。この数年間の集大成だと自画自賛。