日中関係が悪化する前に、滑り込みで上海旅行へ出掛けられて良かった。実際の危険は小さいだろうが、気分的な問題だ。
総括すると、上海は未来都市に70年代の人が住んでいるという印象。10分に1回は痰を吐く人を見掛けたし、歩きタバコ上等である。少し前の日本もそうだった。万博以降、喫煙に世界で一番厳しい都市だと聞いていたが、流石、上に政策あれば下に対策ありの国である。屋内の喫煙禁止は守りつつ、屋外ではアナーキー。
10年ほど前まではあった広大なバラックは風前の灯である。国が地上げをするので、それはスムーズでしょう。道が広い。転じて、日本は国家主導でやる様な事業を民間にまかせているので不思議だとの感想を持った。郵政や通信、ロケットなんて、本来は国家事業でしょうに。水道事業の民営化なんて論外な話でね。例えば、三菱重工は旅客機の開発を2023年に中止したけれど、アメリカでの認可が降りなかったからだ。そんなの国内線で流通させて既成事実を作れば良かったのにね。中国はそうしているじゃないか。
失われた30年の間に差がついた。上海の発展を見ると、今回の騒動は迂闊に見える。上海近郊だけで日本のGDPを越えるそうだ。例えば、戦前の高級軍人を当時のニューヨークにまとめて視察させたら、はたしてあの戦争はあったのだろうかなんて事も考える。中国のイメージが30年くらい前で止まっている。もっと言うと、自己イメージもそう。また、外交的にはアメリカを過大に、中国を過小に評価するのは危険かもしれない。
現状認識が追いついていないだけで、台湾はもう詰んでいて、大勢が決してから騒いでいるという気もする。本質的には中国が巨大化して、日米が弱体化した結果な訳で、潜在的なフェイズはもっと深刻なのではないか。
