祖母に預けられて育ったのだが、思い出してみたら、昭和感の強いエリアだったかもしれない。
兼六園からすぐ近くの城下町で、戦争で燃えていないから道が細くてね。雪国なので、道のサイドには除雪用の深い溝があって、車で通るのが難しい。古い街並みだ。通りには武家屋敷も残っていた。
80年代なのに、自転車の後ろに紙芝居を乗せて興行するお爺さんを見た事がある。商売になるはずもなかろうが、向かいの家の駐車場でやっていた。
氷を売る軽トラはまだ走っていたし、近所に貸本漫画の店があった。あの店は開店休業のまま、90年代まで残っていた。行きつけの散髪屋のおばさんは、戦争中は農家が威張っていて嫌だったという話をよくしていた。
隣家は大正時代からの建物で、広い庭は竹林で井戸があった。後年、台風で門扉から倒壊して、駐車場になってしまったが。
自分は年配の方から同年代と話しているみたいだと言われる事があるけれど、環境のせいだろうな。昔の芸能や時事には疎いので齟齬も多いけれど、70代後半と一番話が合う様な気がしなくもない。