ホストの男性と駅まで歩いた。彼は駅に着くなりどこかへ小走りに向かって行った。戻って来た手には炭酸ジュースが握られていて、どうぞと渡してくれた。それで、男社会で鍛えられているとはこういう事かと感心した。
そう、男社会なのだ。一見、彼らは女性からの評価を気にしている様に見えるけれど、実際にはホモソーシャルなルールの中で生きているのではあるまいか。同性の同僚からの評価がより死活問題なのではないか、という疑問を持ったのだ。知らないけれど、良いお客さんを付けて貰ったりとかね。
興味を持ってホストクラブのホームページを眺めてみると、役職がやたらに多い。会長と執行と代表がいて、上下関係が分からない。キャストのプロフィールを読むと、尊敬する人には必ず直属の上司の名前が書いてある。
そういえば、もう亡くなられたけれど、政界のフィクサーがいらしていた。その先生の持ちネタが印象的だ。ある晩、酔っ払って山口タクシーを電話で呼んだ。ところが、相手の受け応えは要領を得なくて、怒って電話を切って別のタクシーで帰途についた。翌朝に安倍総理から電話があって、知事が失礼をしましたでしょうか?と尋ねられたそうである。実は、山口県知事に間違えて電話を掛けていたというのが話のオチである。
人間も群れを作る集団動物なので、真っ当な男はパワーゲームに全力である。そして、男に評価されない男は女性にとっても、おそらく魅力に乏しい。ええと、グラップラー刃牙的な意味で。