先日のポエムの記事は言語学で言うところの中動態です、というご指摘のメールを頂いた。
知らなかったので、國分功一郎氏の解説記事を検索して読んだら、確かにそんな内容である。
自分の別の表現では、三角形である。他の2点が自分の位置を決めているので、その前提を動かさないと自分の位置を移動出来ないという話になる。
そうした視点から、症状についても、患部よりも各部の関係性を見る。例えば、腰痛の原因が頚椎から来ている様なケースがある。首の動きが悪いので、腰が過伸展して負担が掛かる。この場合、腰の可動をつけると、トドメを刺しかねないので触らないのが吉。
痛風なら痛み止めを飲むよりは酒を控えたら良い。これは分かりやすいはずだが、他の症状でも、しばしば痛み止めだけ飲んで済ます様な処置をしやすい。つまり、腰痛で腰に湿布をしたり、偏頭痛で頭痛薬を飲むなんてのも、やってる事は同じだぞ、と。
仕事のストレスで偏頭痛が出ていて、転職しないと治らないなんてケースもある。実際には、ストレスでお菓子をドカ食いするのが頭痛の原因になっていたりもする。
住環境もそうで、咳が何時迄も抜けない方がいたので、除湿機を付ける様にご案内したら、半年以上続く空咳がすぐに抜けたなんて事もあった。咳止めも役には立つだろうが、本質的ではない。
人間関係にまで話を広げると、子供が頼りないという場合、しばしば親の方が子離れ出来ないのが原因だったりする。子供を変えようとするよりも、親が趣味を持ったりした方が良いケースもある。自分の会社に入れる前に、他所の釜の飯を食わせるとかね。また、家族仲が悪くて、解散する気もないのなら、まず広い家に引っ越してみたらどうだろうか。慢性の坐骨神経痛が、離婚した途端に治ったなんてケースもあった。
これ等は、いずれも対象を直接にコントロールしようとすると、失敗するという事を示唆している。対象を規定している前提条件を動かした方が効率は良い。
最初にそれを学んだのは、学生時代の弓道だ。的に中て様とすると、力んで的を外しやすい。それを回避する為の工夫として、姿勢のコントロールの方に意識を集中すると、かえって的中率が上がるという事を学んだ。以来、方法論はそればかりだ。だから、治そうとすると治らないし、斬ろうとするとかえって斬れない。
整体は具体的な検証材料として最適なのだが、自分の抽象的で本質的なテーマは、そうした諸問題のコントロール方法を学ぶ事だったりする。