ビーン

上手な人が鍼を打つと、体にビーンと響く感じがする。手技にも同様の感覚があって、分かりやすいのは手三里だろう。

指力でやると、相手は筋肉を固めて抵抗するので上手く行かない。ツボが閉じる。それで、呼吸を取ったり、あれこれと工夫をするのだが、要は力を抜けば良い。

しかし、この力を抜けという教えはよくされるのだが、これが曲者で、大概は抜いたつもりで抜けていないし、実際には、抜いただけでは効果もない。

自分が大声で話していると、人の小さな声は聴こえないのと一緒で、聴こうとするなら、黙る必要がある。力を抜けと言うのは、黙れという事だ。

手指から力が抜けると、脈や呼吸、筋肉の緊張弛緩などの体の声が聴こえる様になる。情報量が増える。それをどう利用するのかが、課題で面白味だ。

最近は、気の感覚だけで、鍼のビーンと響く様な感覚を再現出来ないだろうかと凝っている。体のなるべく奥へ作用させる様な嗜好があるのだけれど、この感覚に従うと、適度な深さが出て来る。頭部などは、こんなに浅層なのかという驚きもある今日この頃。

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