デザイン

施術所を移転して1ヶ月くらい経った頃だろうか。玄関前でゴソゴソと音がする。何だろうと玄関を開けてみたら、クライアントのデザイナーの方がいて、表札がダサいから変えておいたわよとの事であった。

その表札は湿気でタワんでしまっているのだが、今も使っている。自分で用意した表札は、比べると確かにダサいのだ。そのくらい物事の形には無頓着だった。

一時が万事で、何年か前に、空手の稽古に出掛けたら、入門3年くらいの後輩と自分の2人が見本に出されて、型を打つ様に指示をされた。先生曰く、素人が見たら、後輩の方が上手く見えるはずだとのコメント。ただ、形は悪いが、重心が落ちているのは自分の方だと拾って頂いたものである。それで、そんなに酷いのかと反省して、形を気にする様になった。

しかし、形と言えば時計だ。近頃、暇な時間はずっと時計のサイトを見ている。今まで物の造形など碌に気にした事がなかったので、これが新鮮な体験なのだ。今まで見えなかったものが、急に見える様になったので、モノクロがカラーになった様なショックがある。大袈裟なんだけど、この歳になると生活圏で過ごす限り、大体の事柄はルーティーンなので、純粋体験なのだ。

先日、落札したオリエントスターロイヤルの初期型で、ギョーシェ彫が美しい。ヤフオクで見つけて買おうか迷った。しかし、妹と付き合いたいのに姉と付き合おうとするのはどうなんだと、頭のおかしい喩えで自分を納得させて見送った。すると、オークション終了後の2日後に目当ての商品が出て来た。

時計はスモセコが、最も文字盤のデザインバランスが問われると感じている。

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