夏休みの宿題はすぐにやる派かギリギリにやる派かという設問があるが、自分はそのどちらでもなかった。最期まで出さない派だった。だから、気の合わない税理士を頼んでいるのも人にお尻を叩いてもらう為だ。月曜日に期待通りに資料を催促されたので、この一週間ほどは確定申告の作業を進めていた。
現実逃避に文章を書きたくなったが、我慢してひと段落させた。それで目が疲れたので、さきほどまで体の調整をしていた。こんな時は整体を知っていると便利だ。
目の疲労には二種類ある。眼球と周辺組織を含む筋肉的な疲労と文字情報を処理する脳の疲労だ。今回は両方疲れている。筋肉的な疲労では、眼球の動きが悪くなる。上見て下見て、斜め見てといった動きがやり辛くなる訳だ。眼球を動かす時には意外と眼球の周囲の筋肉を使っているので、顔の目の周りの筋肉を弛める事を行う。これは普通にも行われていそうなものだ。
整体の知見では体の各部の関係性を細かく見ていくので、やる事も一味違う。例えば、眼精疲労を取る為に耳殻を引っ張る。これを行うと、眼球の動きは回復しやすいのだ。視力に問題がある場合は、特に耳殻の上の方が固くなっているので、引っ張ると痛い。耳なし芳一操法と呼んでいる。
脳が疲れている場合は、登頂にあるツボを使う。目の黒目と耳穴を仮想の線で結んで交差する二箇所に触れると、中指の頭くらい凹んで感じられる。見つけるのはちょっと難しいかもしれない。ここを押さえると、脳が休まる。施術中に仰向けになったクライアントのこのツボを押さえると、眼球がまるでレム睡眠中の様に微細に動く様子が確認出来る。レムだから、機能的には脳の休息というよりは情報の定着なのかもしれないが、なんとなく頭はスッキリする。
結局、こうして現実逃避をしている訳である。