以前、心理療法を教えてくださいと頼まれて参った。
端的に、カウンセリングの訓練を受けた事はないし、普段、施術をしていても手を動かすので手一杯。まあ、世間話以上のものはない。
ちょっと考えて、先方に手帳を取って来てくださいと指示をした。次に、やっぱり置いて来てくださいと頼んだ。戻って来たところで、今のやり取りに意味はありませんとネタをバラしたら、頭の回転が早い人なので意図は伝わった。
ある種の誘導なんだけど、結果的にこちらの言う事を聞いてくれた訳である。
教わるという立場が行動を規定していて、手帳を持って来てくださいと頼まれてそうしない人はまずいない。素直に聞く耳を持っているという事で、もう半分は成功しているんじゃないのか。実際には、そんな好条件の人は少ない。
さて、『オープンダイアローグとは何か』を読んだ。最近、話題のフィンランド発の心理療法だ。統合失調にも効果的だというのだが、本当なら凄い話だ。
手法の特徴は、専門家チームのミーティングを全て患者本人の前で行うところだ。メタ的な振る舞いを表に出してしまう訳だ。
なんとなく連想したのは、親子連れとのやり取り。その子のいるところで親御さんとその子についての話をしていると、結構、子どもは遊びながらでも話を聞いていたりするのだ。そんな時には、落ち着きのない子でもジッとしている事が多い様な気がする。
自分が子どもの頃を思い出しても、大人同士でこの子はこうだという話をしていたら、それをしっかり聞いていた事を覚えている。むしろ、話を聞きたくなる。