専門性と普遍性

ランニングで速く走る為に肘を振れと教えられる事がある。速く走る為には足が重要なのかと思いきや、腕を動かすと足がスムーズに前へ出るので、コツとしてその様に言われる訳である。

他のジャンルでも、ダンスをする人が上半身で立てと教えられたり、空手で引き手を取れと教えられたりするのだが、これは体を普通に動かしていると忘れやすい体の部位の使用が強調されている。

整体の場合は足の指が強調される。施術では跪坐といって足指を立てた姿勢を取る事が多いのだが、これは足指を自由に動かす為の工夫だ。効果を確認するのは簡単。正坐で肩を動かすよりも、跪坐で肩の力が抜けて動かしやすいはずだ。肩が力むのを防ぐ効果がある。実態は手技というよりも足技だ。

ところで、ボディワークではしばしばリラックスが強調されるのだが、その成果を専門分野に活かそうとする場合、単純なリラックスだけでは技術的な向上に結び付きにくいのではないか。専門分野に紐づいた体の使い方を工夫する必要がある。

自分には、整体の体の使い方にこだわって、武術がちっとも上達しなかったという苦い経験がある。それは傲慢だった。応用範囲の広さ、ある種の普遍性が身体ジャンルにおけるロマンなのだが、今はそのロマンはあまり残っていない。少し寂しいが。

ただ、仕事を通して、別の意味での普遍性は持てた。ジャンル違いの人とも、相手の専門分野について無知でも話は出来る様にはなったからだ。それはどんな分野でも似た様な課題を抱えやすいからで、そのフレームについては共有が出来る。

投稿者: hamadakantaro

浜田貫太郎。浜田整体院長。著書に『臨床家のための整体操法入門』たにぐち書店。共著に『息覚』幻冬舎ルネッサンス。寄稿に『安心』マキノ出版。『手技療法』たにぐち書店。