1分間、拳を握り続けてくださいと指示をしても、出来る人はあまりいない。本人は力を入れているつもりでも、実際には呼吸の切れ目切れ目で力は抜けているからだ。
だから、人体を扱う時には強い力ではなくて、長い力が要る。術者の側が力を掛け続けたら、被施術者の体に生じる隙間が分かる。そのタイミングで調整をすれば良い。
最近、より細長く力を扱える様に訓練をし直したので、施術が非常に楽になった。
上達には方向性があって、テクニックとパワーがあるけれど、臨床では圧倒的にパワーが物をいう。テクニックはあってもパワーがないとあまり効かない。
或いはそれは療術と霊術の差なのかもしれない。両方の要素が必要で話は終わってしまうのだが。
しかし、臍下丹田を鍛えるムーブメントの起源はどの辺りにあるのだろうね。大正時代に流行った訳である。そんなに古いものでもないはずだ。メスメリズムが日本化する過程で、丹田思想とくっついたのだろうが、その有り様は当事者の自分にとっても不思議だ。強力なメソッドの割に絶滅しかけの現状も不思議。まあ、どこか不健全なんだよな。