コロナ後遺症の方は何十人か見たけれど、胃腸を施術する事がほとんどだ。当然、手技でウィルスは観測出来ないので、感染症だという事実はアウフヘーベンして、体調不良として処理している訳である。
流行り出した2020年の4月頃、コロナに罹患して入院された方がいて、酸素濃度が91%まで下がっているので何とかならないかとのご相談があった。90%を切ると人工呼吸器に繋がれる。
動画で様子を見たら、胃腸が張っているので、負担を軽減する為に断食をお薦めした。すると、酸素濃度が94、5%まで回復した。
初期のウィルスは強かった為なのか、入院は2ヶ月に及んだ。その間、食べたら酸素濃度が上がり、抜いたら下がるという事を繰り返していた。まあ、2ヶ月も断食は出来ないので、協議の末、なぜかツナ缶が主食になった。本人の嗜好だ。
後遺症のご相談内容については、ブレインフォグ、倦怠感、咳がほとんどだ。胃腸が張っているので、まずそれを取る。胃腸も範囲が広いけれど、咳は胃で、倦怠感は腸だ。特に、横行結腸が張りやすい。
また、消化の負担を減らしたいので、出来る人は断食。次点で、揚げ物と辛い物を避ける様に指示する。最近も、倦怠感から休職されていた方がいたけれど、調子が戻ったのでめでたく復職された。ドーナツをよく召し上がるそうなので、それは禁止とさせて頂いた。
そんな訳で、不幸にして罹る事があったら、まず断食したら良いし、感染症流行下では腹八分目が健康法。水は沢山飲むのがお薦め。
ただし、味覚と嗅覚の障害は別系統である。胃腸ではなくて、胆をやる。これはコロナに関わらず、味覚障害に対しての自分の定石だ。手法を見つけたきっかけは向精神薬のリタリンである。昔リタリン、今デパスと言うくらいで、12、3年くらい前まではよく服薬している人を見掛けた。麻薬と大差ないので、あんなの気軽に出すのは藪に違いないのだが。
服薬して、舌の呂律が回らない人を何人か見たのだ。ハマラ先生という感じなのだ。体を調べると、決まって胆嚢が張っているので、それを柔らかくしたら、呂律が回る様になった。どうやら胆嚢に負担があると、舌が分厚くなるらしい。
その後、別件で、味覚障害のご相談が続く時期があった。全員、肥満気味の高齢者の方だったけれど、度合が強いと水を苦く感じるそうだ。それで、呂律がそうなら、味覚にも効くかなとやってみたら、結果が良かった。
そのままコロナ後遺症にもスライドさせて使っているのだが、これはまあまあ良い。先日もフレンチレストランに行くので、何とかして欲しいというご相談があったのだが、後日、良くなりましたとお土産を頂いた。まあ、この方は軽症だった為で、大変な方もいらっしゃる。胆嚢なので、やはり揚げ物と辛い物は禁止だ。香辛料が不味いというよりは、大概、辛い料理は脂っこいからだ。