2000年代初頭、おすぎとピーコがブックレビューをする『本ビニエンス』というテレビの深夜番組が好きでよく見ていた。
近年の彼らの活動は知らなかったのだが、現在の動向を伝える記事を読んだら、何とも切ない内容だった。2人揃って認知症になっているのだそうだ。ピーコ氏は取材に対して、おすぎは亡くなったと応えるのだが、実際のおすぎは高齢者施設に入居していると記事は伝えている。
認知症も不思議な病気だ。一番シビアなのは、脳梗塞の流れからの認知症だが、ほとんどの方は施設に入居されるので、お会いする機会はない。実際に施術するのは、軽度の方がほとんどなので、意識が正常になる瞬間があるけれど、時間の連続性はどの様に捉えられているのだろうか。
認知症の体の特徴は、頭頂部を指先で軽く叩打すると、ボスボスと独特の鈍い音がする。頭への血流が悪いからなのか、空洞を感じさせる音だ。
もう10回以上はお越しなのに、毎回、今日で2回目よね?とお尋ねになる方がいる。その方を定期的に見ていて、ある日、もう何回も来ているという話題が出て来て、驚いた。試しに、頭を叩いて調べてみると、少し高い音がしていた。残念ながら、ハッキリされていたのはその日だけで、認知が良くなったりはしなかったのだけど。
また、認知症やパーキンソンなど、脳のご病気の方の体を拝見すると、頭の叩打音とは別に膀胱の負担が特徴的だ。泌尿器でも腎臓ではなくて、膀胱というのも謎だ。神経的に緊張すると、頻尿になるけれど、その辺りの因果関係が出ているのだろうか。
認知症が、官僚や大学教授に多いのもよく知られているけれど、インテリ脳だろう。これはスポーツ心臓を念頭に置いた造語だ。
激しい運動で心臓が肥大すると、強い運動刺激がないと心臓が動かなくなるというのがスポーツ心臓。一方、強い知的刺激がないと脳が働かなくなるのがインテリ脳である。予防の為には、退職された後の知的活動が必須なのではないか。