意識上の焦点

人の感覚のおもしろいところだが、腰痛の人が歯痛になると腰の痛みを感じなくなる。ところが、歯痛が治るとまた腰痛を感じる様になる。

人の認知の仕組みはシングルタスクが基本で、同時に複数の事を処理する事には向いていない。

だから、整体の仕事上でのやり取りだが、受付表に症状を20も書く人がいたとする。それはもう数が多過ぎてその場での対応は難しいのだが、優先順位の高いものを3つ選んでくださいとご案内をすると、選ばれなかった症状については軽症化する。

逆に、選んだ症状については強化してしまうのだが、箒で掃いて、1箇所に集めるみたいな意味を持つ。

これは意識上の処理の話であって、自動車事故で全身5箇所骨折してますみたいなご相談については問題の前提がまったく異なるのだが、症状を感じて訴えるのは人なので、意識上の焦点というのは案外に無視できない。

以前、腰痛のご相談でいらした女性がいて腰痛を強く訴えていた。しかし、施術も半ば辺りで、実は鼻が曲がっていてとお話しになるものだから、ちょっと調整をして鏡を見せたら、元の綺麗な顔になりましたという言葉を残してお帰りになるので驚いた事がある。腰痛へのコメントは一切なかったが、スタスタ歩いていた。

本人が一番気にしている事は、簡単には言えないのも確かではあるのだが。

投稿者: hamadakantaro

浜田貫太郎。浜田整体院長。著書に『臨床家のための整体操法入門』たにぐち書店。共著に『息覚』幻冬舎ルネッサンス。寄稿に『安心』マキノ出版。『手技療法』たにぐち書店。