ヴィンテージ

時計がオーバーホールから戻って来た。ちょっとお爺ちゃんぽい趣味なのは自覚がある。

機関は良好。採算が取れなくて、3年ほどで販売されなくなったくらいにムーブメントに手間が掛かっている。

ローレルの針には、焼成したブルースティールという説と、いや、着色しているのだという両方の説があるのだが、30年くらい経つのに色むらが見当たらないから、焼成しているのではないだろうか。

非常に気に入っているのだが、唯一の不満はゼンマイの巻き感が良くない。手応えが不明瞭だ。この筐体の個性なのか、それとも他の製品もそうなのか、触っていないのでそれは分からない。

90年代から2000年代初頭くらいのヴィンテージを狙っている。ヴィンテージは防水が問題になりやすいが、水は気をつければ良いけれど、汗が入る様では普段使いをするのは無理なので、裏スケは避けてスクリューバックの物を探している。そうなると、オメガのシーマスター一択になる。

最近の時計はサイズがデカいのだが、自分の腕には41㎜でも大きく感じられる。36〜38㎜くらいが丁度良い。デカ厚ブーム以前の物を探すと、そのくらいのサイズを見つけやすい。チタン製のシーマスターで36㎜の物があるので、実機を確認しに行きたい。

また、ヴィンテージを好む理由は、身も蓋もなく値段である。コロナでダブついた資金が流入して、現在、時計業界はバブルの最中である。100万越えがザラになりつつあるのだが、今、それらを買い求めるのはバブル時代に土地を買う様なものだ。少し前から、ショパールのアルパインイーグルが良いなと眺めていたら、あっという間に、2、30万は値上がりしている。しかし、5年も待てば、バブルが弾けそうな予感がある。そうしたら、中古市場に商品が流れ込むだろうから、そこで買えば良い。

最近は業者なのかというくらいに市場を眺めていたのだが、時計ブーム以降の製品からは、価格から逆算して製造している流れを感じる。こういう素材を使っていますとか、価格の根拠を戦略的に作って行く感じ。その点では、少し前の製品の方が普通の物作りをしていて、好感が持てるのも確かなのだ。

むしろ、そうした現状については、ブランディングが上手いと仰ぎ見るべきかもしれないが。韓流ブームもスイスの時計も国策ではある。日本はアニメとマンガでそれをやろうとしているし、明治の頃には、陶器でそれをしたじゃないという。

それにしても、時間を確認する為には、スマホがあれば良い時代である。クォーツの登場時点でも、機械式は技術的には陳腐化している。それが産業として隆盛を極めているのは、本当に興味深い現象だ。その辺りに、自分が生き残るヒントもありそうな気がする。まだ30年くらいは仕事を続けるつもりなのだ。

タイトルとURLをコピーしました