山田五郎『機械式時計大全』

この3週間ばかり、機械式時計の事を調べてばかりだった。不思議なのは、性能面からはクォーツ式を買った方が絶対に面倒がないのだ。機械式では、数年ごとのメンテナンスも要るし、磁力で時間も狂いやすい。技術的な制限を課された中で、敢えて製品開発をしていくというゲームだ。

調べるうちに、パワーリザーブの稼働時間や石数などのスペックにこだわりだしてしまって、そうなると決められない。性能とコストのバランスを考慮するなら、さっさとオメガでも買ってしまえば良いのだが、そこまで性能にこだわるのであれば、そもそもクォーツで良いのではないかと気がついてしまった。

スペックは足切の役には立つけれど、物事の選択の基準にはならない。アバタもエクボというか、対象への思い込み、思い入れで選ぶのではあるまいか。納得の出来る勘違いというか。

今回、未知のジャンルに没入してみて、何を求めているのかを問われる様な体験だった。ロジックを組み立てて、壊すのを繰り返すのが楽しい。自分の場合、ステータスシンボルとしての時計はどうでも良いし、性能もそこそこで良い。あんまり高価なものはアホらしいけれど、元々、メンテナンスをすれば一生使えるというロマンに惹かれて興味を持ったので、それなりの物を買おうと調べている。

最近は山田五郎の『機械式時計大全』を読みながら、勉強まで始めてしまった。定休日の今日は、銀座の三越に出掛けて、実機を眺めたり着けたりして遊んでいたのだが、BAUME&MERCIERに一目惚れした。というよりも、この体験を求めていた様な気がする。若い頃に比べて、自分の欲しい物を見つける能力が極端に落ちている。惰性で生きてはいけない、と思うのです。

そういえば、時計関係の動画をよく見たのだが、youtubeからお薦めされたアメリカ人のチャンネルを見たら、絵の造りがBSの番組みたいな完成度で驚いた。制作会社が入っているんじゃないだろうか。比べると、日本のyoutuberの番組はまだまだ素人っぽいのだが、これから制作会社がどんどん入って来るんじゃないだろうか。新規参入は難しい時代になるのかもしれない。番組では、ダライ・ラマがパテックフィリップで、ヨハネ・パウロ2世がこれみよがしに10ドルのカシオを愛用しているという紹介があって、意地の悪さがおもしろかった。

ところで、頭の中が歯車の事でいっぱいになっているので気がついた。工学的なメタファーに頼るのであれば、膝関節は、股関節と足首に動力を伝える歯車だ。運動で膝を傷めるケースでは、膝をヒンジみたいに使うから壊すのではないだろうか。

タイトルとURLをコピーしました